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映画「国宝」感想(ネタバレあり&なし)

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映画「国宝」感想(ネタバレあり&なし)

「ジュラシック・パーク」「ジュラシック・ワールド」シリーズの最新作ということで、
やっぱりこれは映画館で観た方が迫力あるよな~、と思い、先日観てきましたー!

映画「国宝」あらすじ

後に国の宝となる男は、任侠の一門に生まれた。

この世ならざる美しい顔をもつ喜久雄は、抗争によって父を亡くした後、
上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎に引き取られ、歌舞伎の世界へ飛び込む。
そこで、半二郎の実の息子として、生まれながらに将来を約束された御曹司・俊介と出会う。
正反対の血筋を受け継ぎ、生い立ちも才能も異なる二人。
ライバルとして互いに高め合い、芸に青春をささげていくのだが、多くの出会いと別れが、運命の歯車を大きく狂わせてゆく…。

誰も見たことのない禁断の「歌舞伎」の世界。
血筋と才能、歓喜と絶望、信頼と裏切り。
もがき苦しむ壮絶な人生の先にある“感涙”と“熱狂”。

何のために芸の世界にしがみつき、激動の時代を生きながら、世界でただ一人の存在“国宝”へと駆けあがるのか?
圧巻のクライマックスが、観る者全ての魂を震わせる―― 。

映画「国宝」公式サイトより

映画「国宝」感想(ネタバレなし)

★ネタバレありの感想は、この記事の一番下にあります

とても月並みな言葉ですが、
とても良かったです。

歌舞伎の世界というもののしがらみや伝統、そういうのが少しは分かったような気がします。
思っているより、ずっとずっと固くて大変な世界なのだな、と思いました。

主人公の喜久雄と俊介の演技、歌舞伎役者としての立ち居振る舞いはもう本物の歌舞伎役者にしか見えなくて、
「えっと、この二人の演目はどこに行ったら観れますか?」とうい気持ちでした。

演技に、所作に、それぞれの心情や人生が乗っかっていてとても壮絶でしたし、
心に深く入り込んできました。

御曹司の俊介と、才能を見込まれて引き取られてきた喜久雄。
「ああ、姫川亜弓と北島マヤね・・・」と思いながら観ていました(笑)。

あと、連獅子を舞う二人をみて「あ、レンジー」とも思いましたw
いつも「どっちがお父さんだっけ?」となっていましたが、
これからはもう間違えません。しっかり覚えました!

喜久雄は芸を高めて国宝にまで上り詰めていきましたが
その道のりは孤独だったように思います。

壮大な原作を3時間に収めるために、喜久雄たちの人生や他のキャラクターのエピソードなど、
だいぶそぎ落とされたようなので、
原作も読んでみたいな、と思いました。

あ、あと、「奈落」とか「幕引き」「見得」など、今普通に使っている言葉も歌舞伎由来のものが多いんだなあ・・・と思いながら観ていました。

トコヨ

この映画をみて、実際に歌舞伎を見に行きたくなる人の気持ちがめちゃめちゃ分かりました!

映画「国宝」キャスト

立花喜久雄(花井東一郎)(極上の息子。親を殺され歌舞伎の才能を見いだされ半二郎に引き取られた):吉沢亮
大垣俊介(花井半弥)(半次郎の息子):横浜流星
福田春江(喜久雄の幼なじみで恋人):高畑充希
大垣幸子(半二郎の妻):寺島しのぶ
彰子(歌舞伎役者の娘、喜久雄を慕う):森七菜
小野川万菊(人間国宝の女形):田中泯
花井半二郎(歌舞伎役者):渡辺謙
綾乃(舞妓、喜久雄に思いを寄せる):瀧内公美

映画「国宝」監督

李相日

映画「国宝」公開

2025年6月6日

映画「国宝」興行成績

興行収入150億円を突破し、「踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」に続き、歴代2位の成績となっている。

(2025年10月13日現在)

映画「国宝」配信

2025年10月13日現在、まだ劇場で上映中なので、配信に関するリリースはありません。

映画「国宝」原作

小説「国宝」
著者:吉田修一

映画「国宝」感想(ネタバレあり)

この映画を何度も観る、という気持ちもすごく分かるな、という映画でした。

それは、面白かったから、と言うより、
壮絶な喜久雄や俊介の人生が消化しきれなくて、
なんとかおさめどころをつかみたくて、何度も観てしまうのではないかな、と思いました。

極道の息子でありながら歌舞伎の「才能」を持ち成長していった喜久雄と、
御曹司として歌舞伎役者の「血筋」と努力で成長していった俊介。

お互いにライバルとしていい関係を保ちながら切磋琢磨していきました。

それでも、半二郎が自分の代役に喜久雄を選んだあたりから、
二人の人生の歯車が狂って行ってしまいます。

喜久雄のお初の演技を観た俊介はたぶん自分の中にないその「才能」にうちのめされてしまった。
そして、同じように、恋人としてずっと支えていたはずの春江も、喜久雄との距離を感じてしまい、そばにいられなくなってしまった。

もしかしたら原作にもっとちゃんと二人の心情描写があるのかもしれませんが、
映画を観ている分には、その二人の落っこちた穴の深さと場所が同じで、二人は共鳴してしまい、二人で逃げるしかなくなってしまったのではないかな、と思いました。

才能で「半二郎」の名跡を継ぐことにはなったけど、
現実の世界では、そんなことはありえなくて、絶対に血筋のものが継いでいくそうです。

その分、歌舞伎役者の家に生まれる、というのは、
逃げ場もなく、才能と実力にいつもプレッシャーがあり、約束されているが故に、苦しい部分もあるのだろな、と思いました。
映画で先代の半二郎がなくなったとたん、喜久雄へのサポートが周りからまったくなくなってしまった、というのも、
ある意味とてもリアルなのだろうな、と思いました。

親も殺され、
親友というか兄弟というか、戦友というか、固い絆があったはずの俊介は、
自分の恋人と一緒に行方をくらましてしまい、

それでも自分の「才能」を支えに芸を磨いていたはずなのに、
その芸の道さえどんどんと奪われていく孤独は、想像を絶するものだな、と思いました。

親代わりの半二郎が最期に名前を呼んだのは、
「俊ぼん・・・」でした。

歌舞伎役者としては認めてくれたけど、
心の中に寄り添っていたのは、歌舞伎を捨てた俊介なのだと見せつけられる、
その孤独は計り知れない、と思いました。

「一番の歌舞伎役者にしてくれたら他のものは何も要らない」と願う喜久雄にとっては、
妻や子供も、ずっと自分の外側にある存在だったのだろうな、と思います。

どんなにどんなにどんなに願っても手に入ることができない「血筋」。
そうなるとあとは「才能」しか残っていません.
自分が自分として生きていくために、そのために「才能」以外のものをすべて生け贄としてささげてしまう喜久雄の人生の壮絶さを感じました。
でも、そうじゃないと、俊介や春江、半二郎を失ってえぐられた人生に、
折り合いがつけられなかったのだろうな・・・と思いました。

どんどんと転落する喜久雄、
歌舞伎界に戻り、また脚光を浴びていく俊介。
二人の人生が入れ替わったようでした。

俊介もまた、喪失感をもって生きていた人なのかな、と思います。
それでも、ずっと演じたかったお初を喜久雄とともに演じきって人生を閉じられたこと、
春江や跡取り息子に愛される、あたたかい時間を作れたことは、
とても幸せな人生だったのだと思います。

喜久雄は、歌舞伎役者としては人間国宝にまでのぼりつめ、芸をきわめていくことができたので、
そういう意味ではハッピーエンドなのかもしれませんが、

一人の人としてのその人生は、
壮絶で、孤独で、それは今でもたぶん癒やされていなくて、
痛みの多い、けっして幸せな結末には見えなくて。

でも、望んだものは手に入れているからやっぱりハッピーエンドと言えるのかな、と思ったりもしたりして、
なんとも気持ちのおさめどころが難しい映画だな、と思いました。
だからきっと何度も観たくなるんだろな・・・と。

映画では、二人の最後の共演は「曽根崎心中」でしたが、
原作だと演目が違うそうですね。

映画の中では「曽根崎心中」である必然性がありましたが、
原作だと違う演目でどんな風に描かれるのか、とても興味があります。

また、映画は喜久雄と俊介の人生にスポットを当てたもので、
原作はもっと群像劇のような感じだそうなので、
映画で描かれなかった空白の期間や、エピソードなどもたくさんあるようです。

原作にはAudibleもあって、
実際の歌舞伎役者の尾上菊之助さんがナレーターをしています。

もっと世界に厚みの出た、小説ならではの「国宝」をもう一つの映画みたいに聴くことができるのもいいなあ、と思いました。

「国宝」Audible

あと、漫画も読みたいw

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